魚屋
小川 葉

 
 
魚屋にいくと
魚屋さんが魚になっていた

わたしは予測していた
いつかこんな日がくることを
だって
こんなにたくさんの死んだ魚を
毎日店にならべることができるのは
きっと魚しかいないから

魚だからわかる
その死を
命をすてなければならなかった
その意味を

わたしは魚になろうとしていた
しかし、ふと気がついた
魚屋さんが
エラ呼吸をしていない

見抜くことができたのは
わたしが人だから
見抜けなかったものばかりが
毎日店にならんでいく
 
 


自由詩 魚屋 Copyright 小川 葉 2010-02-14 17:56:32
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