『花火』 連詩 果音様&ペポパンプ合作
ペポパンプ

「花火」

行列を作って
並んだあの時
僕と君は
話をしながら
とろとろと進む列の
後をついていった。

僕は君に相槌を打ちながら
とろとろと進む速度に
正直イライラしていて
進むために出す一歩一歩の
この足で誰かを何かを蹴りつけたい
そんな衝動でいっぱいだった。

花火が始まる
思わず手を握った
間近で見る花火は
迫力がある
ドーンドーンと
下から突き上げる音
心臓もドキドキする。
痺れる。

僕の衝動は花火の音と共に
暗い夜空に打ち上げられてゆく
僕と君の手の汗を感じながら
そっと君の瞳を盗み見ると
夜空のような黒目に映る花火。
他に映るものを探す
たとえば僕の衝動とか。

「帰り、ラーメン食べよう
 おいしい所知ってるから」
「チャーシュー5枚で
 トリガラスープの」
ビール片手に
つぶやく
君は頭を肩に
よせてきた

ドーンと頭上で鳴って
ハッと見上げれば散る花火
握りたい手も覗きたい瞳も
今はもうここにはなかった。
他愛も無い思い出が
ひとつひとつ打ちあがって
そして 散って。




自由詩 『花火』 連詩 果音様&ペポパンプ合作 Copyright ペポパンプ 2010-02-13 20:20:05
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