夜汽車
三奈



私を降ろしたあの汽車は
星の路へと駆け上がる

手には破られた乗車券
夢を追うことに疲れたんだ
信じていた言葉の羅列も
いつしか色を失くしてしまった

思い出すのは、仲間の笑顔
あぁ、たぶんもう
交じりあう事などないだろうけど


月が照らす小さな駅


「次の汽車はいつですか?」


人に問うても返事なし
ただ一人駅員だけが
「貴女次第じゃないですか?」と微笑んだ。



生きてるだけで精一杯さ
次の汽車など見つからない

それでも世界から消える為の道具は
全部捨ててここにいる

立ってるんだ
しっかりと

だからもしまた巡り合えるなら
その事だけは「偉い」と言って褒めてほしい

遠い駅から送るメッセージ


「私はまだ、世界(ここ)にいるよ」



春まだ遠いこの場所で
汽笛の音を待っている

















自由詩 夜汽車 Copyright 三奈 2010-02-13 01:18:30
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