雪月花の夜
岡崎師

窓の外に硝子色の鳥が飛び、静かの海は今日も波が激しい。
雷空から白い光が、幾本も降り、燕が凍った。
白い窓に息を吹きかけて、砕け散る街の色は赤。
街が血を流す、夜が近い。地下室に閉じ込められた空、
雨は雪に変わり、風は竜巻に変わった。
塔が崩れ、窓は割れ、鳥は、破片となる
水晶の蒼色の夜。血は枝に変わり、空へ延びた。
蔦は絡まり、雲から薄い並んだ星が覗く
望遠鏡を抱えて、双子が家を出る。僕は地下室に降りる。
浮雲が流れ、月が煌めき街を見守る。
灯台が黄金の光を散蒔く、月の花が実を付ける。
吹雪く、雪と月が混じり、花開く。 雪月花の夜だった。


自由詩 雪月花の夜 Copyright 岡崎師 2010-02-10 02:44:24
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