僕のファウスト
高梁サトル


敷居を跨いで 声高に罵ってくれ
トゥーレを歌いながら 首を絞めてくれ
あらゆる支配で 心を埋め尽くしてくれ
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最初は澄んでいたことも知っているくせに
どうして人は醜さから目を反らすのだろう
疲弊する脳から逃げて
一体どんな素晴らしい場所に 辿り着こうとしているのか
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お願いがあるんだ
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生きたまま棺桶にいれて 埋めて欲しい
両腕を胸の上で組んで 息が止まるまで
この世界の あらゆる美醜について考え直したい
それは死じゃない 純粋な回帰だ
/
こめかみを 銃で打ち抜いて欲しい
僕の断末魔は きっと君を満足させられると思う
どうかな、
来来世まで仕える契約で ここにサインをしてくれないか
/
朝が白いと感じていたのは 光のせいではなかった
僕の 静かなる願望だった
闇がどんどん濃くなって 何も見えなくなる前に
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善悪なんてものは ただの理屈で
特別区別するものではない
さあ、
畏れないで 僕の望みを叶えておくれ


自由詩 僕のファウスト Copyright 高梁サトル 2010-02-09 20:52:44
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