背を向けてること
森未

わたしがうまれて
あの子がしんだ

透明なせいぎふりかざして
にやりとわらうおおぜいの人
けっして
きづかない
透明なせいぎは
なんにも
すくわないのに

今日も
わたしがうまれて
あの子がしんだ

みんなきづかない
いきるのに必要なことだと
それは
いいわけ
仕方ないなんて
それだけで
お、し、ま、い

透明なせいぎをぬりつぶして
正体をあかしてしまいたい
そしたら全部壊れて
はがれて
ばれてしまうのに

しんじつは深く海の底
だれももぐりはしないさ
知りたくなんかないもんね
知ってしまったらおわりだもんね

今日も明日も
あたしがうまれて
あの子がしぬんだ


自由詩 背を向けてること Copyright 森未 2010-02-09 19:17:11
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