魔術師の夜
楽恵



週末、定期的に届く招待状はまるで
光年先の異星からやって来る奇妙な使者のよう


青い光


目視を拒まれた、
太陽と月の錬金術

十六夜の月を鏡に、
くちびるには薄い紅をのせる

ほの暗い舞台
操り人形の削り取られた幻惑
ベルベットでできた
カーテン


羊たちの運命を託された使者は
本当はどこからやって来て
どこへ去っていこうとするのか


既視感のあるアーチ鉄橋のうえで
風に遮られた、
数発の銃声


記憶の永遠の喪失

けれども私は
あらゆるトリックの、秘密が知りたい


眩暈、


変身


魔術師の夜




自由詩 魔術師の夜 Copyright 楽恵 2010-02-09 18:42:02
notebook Home 戻る