愛犬と僕
朧月
気付かれないようにそっと埋めた
悲しみを夜中に掘り起こす
僕の愛犬と
別に犬なんていなくていいけどさと
言いながら鎖をぎゅっと握り締める
僕と愛犬は鎖で繋がってる
どちらが飼い主かなんてどうでもいいけど
犬の世界から僕は認められて
狭い犬小屋で寝ることもできるんだ
どんな豪邸よりもさ
ふさふさしてるんだぜ
埋めた悲しみは色褪せて
愛犬の濡れた鼻先で
転がり崩れ落ちたから
前足でがつんと踏み潰した
僕の悲しみだっていうのに
じゃらんと鎖をひっぱって
愛犬に連れられて帰る
影は微妙に愛犬のかたちの
ほうが大きく見えた