愛犬と僕
朧月

気付かれないようにそっと埋めた
悲しみを夜中に掘り起こす
僕の愛犬と
別に犬なんていなくていいけどさと
言いながら鎖をぎゅっと握り締める

僕と愛犬は鎖で繋がってる
どちらが飼い主かなんてどうでもいいけど

犬の世界から僕は認められて
狭い犬小屋で寝ることもできるんだ

どんな豪邸よりもさ
ふさふさしてるんだぜ


埋めた悲しみは色褪せて
愛犬の濡れた鼻先で
転がり崩れ落ちたから
前足でがつんと踏み潰した
僕の悲しみだっていうのに


じゃらんと鎖をひっぱって
愛犬に連れられて帰る

影は微妙に愛犬のかたちの
ほうが大きく見えた



自由詩 愛犬と僕 Copyright 朧月 2010-02-04 19:20:47
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