世界の中には一ミリのメルヘンが浮かぶ。
プル式

月光輪は白く
外灯は虹をかがやく
世界は青く
白い道をしめす
道端に手向けられた花は
誰をしめすでもなく語りかけ
僅かな戦慄と蜘蛛の糸のような
儚い残存を与える

あぁ、夜だ

振り返りそう呟いてみた声は
どことなく夜気をはらみ
白いまましばらく空に浮かんだ

あぁ、夜だ、夜だ

私は何故だかそれが嬉しく
くり返しくり返し
何度もそれを空に投げ
やわらかな坂道を後ろ向きに歩いた

街明かりの小さい事
月の明るい事
白いまま浮かぶ言葉の事
そのどれもを忘れまいと目を開く

あぁ、夜だ、夜だ、夜だ、夜だ

きっと忘れて仕舞うだろう夜は
やはり青く
外灯は虹を
月は大きな輪を描いていた。


自由詩 世界の中には一ミリのメルヘンが浮かぶ。 Copyright プル式 2010-02-01 22:59:02縦
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