落下
小川 葉

 
 
目を瞑ると落下してる
驚いて目を覚まし
また目を瞑る
ふたたび落下
それを何度か繰り返し
その恐怖に慣れた頃
私はやっと
眠りにつく

夢で見た
あの青い海も
本当は落下してる
素足で駆けた
浜辺の砂も
落下している
もういないはずの
君とかわした言葉も
ここから一番
遠いどこかへ向かって
ずっと落下してる

ドスンと音がして
目を覚ます
ベッドから落ちた
私はパラシュートをたたんで
寝間着から服に着替え
いつものように
生きるために出かける

目を瞑ると
また落下してる
昼休み前
我慢できない君が
パラシュートを開いて
また居眠りしてる

 
 


自由詩 落下 Copyright 小川 葉 2010-01-26 23:41:57
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