真冬の灼熱
あ。

はじける光を逃がしたくなくて
手のひらで両耳をきゅっとふさいだ


いくらあたたかな毛糸で肌を覆っても
手足は温度を忘れたかのように冷たい
冬は嫌いじゃないし寒さにも強いほうだけど
この冷え性だけは本当に困っている


干したばかりの洗濯物は冬風にさらされて
ゆっくりとした動きで波を打っている
重く気だるく感じるのは
まだいくばくかの水分を含んでいるからだろう


ベランダから空を眺めてみれば
ねじれたような形のうす雲が流れている
太陽は無邪気なほどに辺りを照らし
夏に見た風景とたいして違わなくて


それでも確かにわたしの手足は冷たいし
湿った洗濯物は軽やかに動かないし
閉じた目の中にある光は過去のものだし
思い出した甘い痛みは灼熱の中にあった


ひとつ、胸いっぱいに酸素を吸い込み
ひとつ、大きく二酸化炭素を吐き出す
余分なものが排出された身体の中では
数え切れない様々な光が駆け巡り
その美しさをひとつぶだって逃がしたくなくて
いつまでも閉じ込めておきたくて


そっと、耳を



自由詩 真冬の灼熱 Copyright あ。 2010-01-26 23:26:22
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