ねむりたくないつめたきよる
たりぽん(大理 奔)

抱きしめて存在を確かめる
あなたを温かいと感じたとき
私はきっと冷たくて
私を温かいと感じるとき
あなたはきっとこごえて
ふたりは
春と秋を重ねて
交互にめぐる季節
あなたに暖められながら
背中で冷えていく惑星
向き合うのではなく
遠心力で支え合って

夕日が血のようにあかいのは
遠ざかり引き裂かれないための誓い
星が綺麗と感じる夜に頬が冷たいのは
抱きしめて存在を確かめる
あなたを温かいと感じたとき

腕の長さを確かめる
歩幅を確かめる
声の大きさを確かめる
私の届く果てを規定するすべてのもの
を確かめる
そして
その外側に美しいものを置く
洞窟の天井に
仄めく小さなぬくもりを
その外側に置く
遠ざかり引き裂かれないために
歯を食いしばり
眠ってしまわないよう
眠ってしまわないよう



自由詩 ねむりたくないつめたきよる Copyright たりぽん(大理 奔) 2010-01-25 23:12:22
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