ほのぼのとした詩
間村長

私は階段を上がりきると
間髪入れずに階段の電気を切った
私は知らなかったので有るが
私の直ぐ後を私と同じ様に同じ階段を
登って来て居たパチンコホールのマネージャーが居たので有った
晩秋から初冬にかけての薄暮の時間帯で
電気を切られてもそんなに明暗の差を感じなかった筈だが・・・・
長い階段で息を弾ませて私に追い付いたマネージャーは
「でも卵割っちゃたよ」
と、実はそのマネージャーは三十代半ばの女性なので有るが
やり手のキャリアで私の言いたい事は察して居るらしく
「違和感は無かったけどさー卵割っちゃって、ほんのちょっと
暗くなったなと感じた程度でさー何とも思って無いんだけど、
野球見に行って食事して来ようか」
と、一気にまくしたてた
その後何処の飲食店に行ったのか記憶に無いのだが
あの妙な暗いのか明るいのか曖昧な薄暮だけは覚えて居る
結局そのキャリアの女性はビールを飲んだ私の為に
帰りに代行運転手まで務めてくれた

そのマネージャーはバイトの面接に来た女の子でその他の事は全てクリアして居るのに
ただサンダルを履いて来たと言うその事だけの為にその子に不適格の烙印を押した
マネージャー見習いを首にした事で一挙に人徳を高めた
どうやら以前中学校で英語を教えて居た様だ
その為隠居した後は子供たちに英語を教えながら余生を送りたいと
言って居る


自由詩 ほのぼのとした詩 Copyright 間村長 2010-01-22 00:17:25
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