夜想曲
楽恵

まるで何事もなかったように
日常の分だけとおり過ぎていく
愛情は誰も手にすることができない
静かな凪の海
私をおきざりにしたまま
潮も今は遠く引いている 
深海の青のような音楽
三日月が浮かぶ冬の浜辺を流れる

かつて貴方を愛した女たちを想う
(優しいのね)
これから貴方を愛する女たちを想う
(きっと美しい)

遠い海の夜の蜃気楼


私は彼女たちと共に
これからもずっと
(貴方を愛している)


夜の水平線にじっと目を凝らして
海がもう一度私のもとに戻ってくるのを待って
夢がまた私をどこかへ連れ去っていってしまうまで
今は貴方だけ想っている





自由詩 夜想曲 Copyright 楽恵 2010-01-18 20:30:45
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