燃える葬列
九重ゆすら

「あなたが有しているのは,毒なのですかと想う,
観劇する葬列を掻き鳴らしているのは,誰なのか,
ねえ,教えて欲しい,痛みと熱さとを」

切れそう/千切れるんだ/きっと

観て、観て、めらめらと燃える立像を
あれはいつかきっと、焼けオチて,
冬の匂いに肉の崩れる音がひびく,
連想は途絶え,跡形も無く消えてしまう

■骨だって残さない

たちこめる煙/とても強い発声
「発光」
葬列は歩く,海に向かうのだ
あなたの思い出を捨てる為に 亡くす為に

■どこにも見当たらない
■こちらを視ている

骨の弾ケル音がして,もう沈んでしまう
黒い鳥は本当に真っ黒だ(本当だよ)
きっとその眼には見えているのか

「あなたが観たのは,葬列です,それもとても清らかな.
ええ,とても清らかな炎でしたね」


自由詩 燃える葬列 Copyright 九重ゆすら 2010-01-18 14:40:01
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