わかりあう
靜ト


わかるよ、大丈夫だよ と
君は微笑んでくれる

俺がわかってるから と

けれどもわたしは悲しい
悲しくなったから、君がそう言ってくれたはずなのに
君の言葉がさらにわたしを悲しくした

だれかが、だれかをほんとうにすべて理解することができないときづいたのは、雲がつかめないと知るよりも、少し前だった気がする

わたしは俯く
俯いたわたしに君はまた言う

わかっているよ と

君の目をみたら、ああそうかと思った
すべて、わかっているのだ
わかっていて、それでも君は言っていたのだ

このことばのはかなさを
壊れないように、二人で抱いて眠ろう


自由詩 わかりあう Copyright 靜ト 2010-01-18 01:57:14
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