飼い犬のブルース
葛西曹達

買い物ん時は飼い主に
ポールに繋がれアンラッキー
道行く人がブザマな俺を
憐れんでくれるみたいだぜ

尻尾を振って愛想立ててりゃ
大抵愛には困らない
こいつら片手間だろうけど
こちとらそれが死活問題

今日も明日も同じメシ
自分の力で食べられない
なんて情けねぇんだか
でもこれが俺の今なんだ

目を覆いたきゃ覆うがいい
誰も手なんか差し伸べないぜ
みんな自分がかわいいんだ
誰だって 俺だって

なぁ気づいただろ?
俺は自由じゃないけれど
危険でもないってことに

この先何年何十年
このまま老いぼれてくなら
もう我慢ならねぇ
構わず爆発してやれ

…あれ 俺 ほんとは人間
思い込みの罠にハマって
見失ってたんだ

爆発なんかしなくても
俺には言葉があるだろ

ためしに叫んでみた
「自由になりたい」って
すでに自由なのにね
鎖なんて元々ないのにね


自由詩 飼い犬のブルース Copyright 葛西曹達 2010-01-17 08:26:42
notebook Home 戻る