人畜無害
kauzak

夜を走る電車
十五両編成の最後尾
ゆっくり居眠りしようと
乗り込んで席を確保した
はずだったのに
次の駅から
スノーボードと思しき
荷物を抱えて乗り込んできた
二十代前半の女性が
暫く悩んだ末に
僕の隣に座る
相席するにしても
他にも沢山あったのに
何故僕の隣なのか
彼女から薫る
さわやかな香水に
鼻をくすぐられながら
落ち着かない気分で
気を紛らわそうと
鞄から本を取り出して
読もうとするけど
何だかぎこちなく
気もそぞろ
だったはずなのに
昨日の睡眠不足も祟って
電車の揺れも心地よくて
睡魔に負けて
気が付くと
下車する駅のふたつ前だった
何だか
損した気分で
チラと女性の方をみると
素知らぬ顔で
携帯を弄っていた


自由詩 人畜無害 Copyright kauzak 2010-01-16 23:59:51
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