二月の親父
……とある蛙

雪や氷柱(つらら)や霜柱
たくさん積んだ荷馬車を曳いて
二月の親父がやってくる。

その音聞こえぬ ふりをして
年が変わったと大騒ぎ
嫌なこと できれば忘れよう
初めの一〇日は騒いでいるが、
そのうち、現実突き付けられ
そいつに首根っこを掴まれて
ズルズル引きずり戻される。

(また、今年も寒い冬を過ごすのです。)

春には楽しいこと あるような
二月のグレーの戯れ言で
寒さが緩めばこっちのものと
思っては見てもまだまだ冬で、
三カ月 じっと我慢の穴蔵暮らし
その後春もやってくる。
しかし、春さき忙しい

(それにしても三カ月は長過ぎます。)

蜜柑に炬燵に鍋焼きうどん
水炊き、河豚鍋、鮟鱇鍋
暖かいもの数ありますが
一人で過ごすには辛すぎるので
二月の親父に文句言う
文句言っても季節は巡る。

季節は巡ると分かっていても
二月は辛い仕事の季節
黙っていても二月は迫る。
しかも実入りはごくわずか

早朝、聖橋から神田川
雪がはらはら降ってはいるが
決して積もる気配もなく
二月の親父がやってくる。
そろそろ仕事に行かなけりゃ
さぁ 行かなけりゃ
はぁ 行かなけりゃ



自由詩 二月の親父 Copyright ……とある蛙 2010-01-14 12:29:06
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