猿の手紙 
服部 剛

日々の職場という 
あまりに狭い宇宙の檻の 
たわけな猿と化している 
自分の姿を 
動物園のすべてを見渡す 
一本の高い樹に登って眺めれば 
思わず、笑ってしまうのだ。 

世界という名の動物園を
見渡す 
(もう一人の僕)が 
樹の頂から 
テレパシーで 
檻の中で気の合わない猿に
背を向けながらも 
足掻いている、僕に言う 

「 いいかい、君が頭を抱えてる 
  日頃の人間関係なんぞはなぁ、 
  幻の、でじゃぶに過ぎんのだ・・・ 」 

遠くに見える高い樹の 
頂にいる猿のまなざしに 
気づいた僕のいる檻に 
世話係のおじさんが、 
一通の手紙を届けた 

封を切って、開いた便せんには 
たった一行 

「 君ヨ、一度キリノ人生ヲ
  下ラヌ檻を破ッテ、冒険セヨ 」 





自由詩 猿の手紙  Copyright 服部 剛 2010-01-12 21:14:27
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