彼女の子宮
吉岡ペペロ

ホテルで本を読みながらたまにAVを見つめている

財務関連の本を蛍光ペンかたてに読んでいる

このての本は猥雑ななかで読むのにかぎる

ファミレスやこんな環境が最適なのである

若い女がインタビューされながらバイブで弄られている

白いバイブが男優に出し入れされている

バイブの音が東南アジアのセミの鳴き声に似ている

蛍光ペンの細い方で気になる用語を表紙にメモ書きする

蛍光ペンはいつも濃いブルーのを使用している

知らないことに突き当たったり普段考えていることが言語化されていたりすると興奮する

若い女がカメラのレンズに潮をとばして腹筋を痙攣させている

まだ幼かったころ性のちからを信じていたころ

よく彼女のなかに中指を入れた

彼女に潮など吹かせていたのを思い出す

女の恥骨あたりにあるざらざらをくすぐるようにこすっていると

中指のさきに砂肝のようなものがこつこつと当たる

女になにが当たっているか言えと命じてみる

それがなんなのかは分からないがいつも子宮と言わせていた

財務の本をひととおり読み終え蛍光ペンでマークしたところを

もう一度読みかえし本を捨てるようにして閉じた

役目の終わったテレビも消した

指先に彼女の子宮を思い出している


自由詩 彼女の子宮 Copyright 吉岡ペペロ 2010-01-11 12:00:04
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