この道をまっすぐあるくんだ
竜門勇気
春を踏んで道が砕けて
僕の足はそれでも動いた
空に浮かんでる大きな鉄の屑が
落ちてきたとき
苦くてとても飲めこめそうも無い
冷たい氷が落ちてきたとき
それでもよく動いた
秋の雫が喉に詰まって
体は凍ってる
振りほどいたら
全部消えるからって
すごい力で引きちぎられた喉
まだ痛むよ
なにか喋るよ
むすんだ指の中で
世界を壊しているのは誰だろう
夏の隙間
隙間だらけで漏れ出してる
美しさの作り方を知って
試してみたくなったのか
走る 山のなかでは
どんな大きな声でさけんでも誰にも届かない
どんな小さな声でつぶやいても自分には隠せない
冬は腐った粒が時間を止めて待つ
溶け出してしまう前に僕が目をさますのを知ってるから
人間再加工 耳鳴りが音ではなく痛みでやってくる
静止の温度
複雑さは行き着く先を知って青ざめてる
むすんだ手の中で
熱くて寂しい花が
咲いては枯れ散って
まるで一枚の水彩画だ
僕の足はまだ動く
フィルムの外側から
降る雨に映る物をみている
空は口に散弾銃をくわえて
最後の謎かけ
この道をまっすぐあるくんだ
この道をまっすぐあるくんだ
このみちをさがしつくすんだ