… 一番星見つけた …
まどろむ海月
雲の崖から
流れ落ちる虹
光は水に沈み
黄昏の彼方に
風は失われた
日々を呼ぶ
夜の匂いの中
思い出は座礁し
波のはかない仕草に
古い傷は火口を開く
指に点された灯は
静かにこぼれ落ち
闇の彼方の
底なしに深い炎と
結ばれる
燃え上がる夜の霧
土の下の流れに
流木はさまよい
身から広がる波紋に
朝のまどろみが忍び寄る
幾度の冬の旅を
少年よ
きみのリュックは
すっかり古びた
値しない自分の小ささを嘆いても
思いの深さと比例して
星は遠ざかるばかり
黄昏に
足下の水たまりを
覗いてごらん
ほら
君を見守り続けた一番星は
手の届くところに