いったい何だってこの世界は
あらら

いったい何だってこの世界は
形あるものばかりで
あふれかえっているのだろう

それぞれの形に 閉じ込められた者たちが その距離を その輪郭を 埋めようとする 超えようとする そして そうすることによる 救いと 儚さ について俺たちは考えている

こんなにも傍に居る 震えるように今そう感じるのは 切ないほどの 隔たりがあったから 目に見えるお前の姿も 目には見えないお前の心も さっきまでの俺には ひどく遠い所の 出来事であったのだから

いったい何だってこの世界は
形あるものばかりで
あふれかえっているのだろう

この腕の中の 暖かく息づくお前の形が きっと俺の心を永遠に 震え続けさせるのだという予感が 今この場所 この時間 この世界に ただ俺達だけを居させる 

しかしいくらそう思えてならないとは言え 区別のつかなくなったそれぞれを取り戻すかのように この永遠のような時間も いつか終わりを迎えることもまた確かなことなのだ

それでもなお こうして何度も お前の形を確かめたくなるのは そもそもそんな何もかも 鮮やかなお前の形さえ 俺にはどうにも邪魔に思えて 仕方がなくなるからなのだ

いったい何だってこの世界は
形あるものばかりで
あふれかえっているのだろう

俺はただいつまでも
形さえ纏わない
お前そのものを感じていたいだけなのだというのに

いったい何だってこの世界は
形あるものばかりで
あふれかえっているのだろう


自由詩 いったい何だってこの世界は Copyright あらら 2010-01-03 01:30:35
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