ロッキングチェア・ウィスキー。
菊池ナントカ


オウムの缶詰めを砂漠で開ける。
月が、ゆるやかに実ってる。

こんな時にはリンジーの事を思い出す。
彼女は今でも俺の事を史上最低のボーイフレンドと思っているだろう。

クレイジー・タイフーン。
砂嵐で前も見えない。
クレイジー・ローズ。
砂漠で薔薇は咲かない。
思い出すのは、
お喋りでホラ吹きの、あの娘の笑顔。
あの娘の笑顔。


砂漠の中にロッキングチェア。
俺以外、座る奴はいない。

砂漠の中でロッキングチェアは、いずれクズレゆくだろう。
そこに俺の骨は残るんだろうか。
太陽は骨すら溶かすかもしれない。

クレイジー・タイフーン。
素直な自分は前が見えない。
クレイジー・ローズ。
砂漠で薔薇は持たない。
思い出すのは、
歳に合わない化粧と香水の、あの娘の笑顔。
あの娘の笑顔。


欲しかったのは真心。
砂漠でロッキングチェアに座りウィスキーを飲む。
さよなら美しく儚い世界よ。

思い出すのは、あの娘の笑顔。



自由詩 ロッキングチェア・ウィスキー。 Copyright 菊池ナントカ 2009-12-31 10:15:26
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