ふくだわらまんじゅうろう

俺が酒を呑むのは
なにも
寂しいからじゃあないんだ
たとえば春の
野の花の
咲く丘
走る
君の笑顔
思い出して
思い出して
思い出して、ふと、気がつけば
君はもういない
ここにもいない
そこにもいない
どこにもいない
天国にも
地獄にも
地上にもいない
神様もいない
悪魔もいない
加害者も
被害者も
天秤棒の女神もいない
泣いても
笑っても
誰かがどんなに謝っても
誰かがどんなに哀しんでも
誰かがどんなに酔っ払っても
どんなに酔っ払って酔っ払っても
どんなに酔っ払って酔っ払って酔っ払っても
君はもういない
それを忘れるためでもなく
それを思い出すためでもなく
ただ
今日一日の
汗の
涙の
おかわりするため
もう
一杯



自由詩Copyright ふくだわらまんじゅうろう 2009-12-29 10:19:54
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