法則
真島正人

理由をなくして
理由をなくしたがゆえに責められて
理由のない場所にもたどり着けず
けれども
理由のない物事が
降りかかってきそうだ

もうすぐ
降りかかってくるだろう

夜の空気の中に
濁りを見つけたときには
もう手遅れなのだけれども
僕は
法則を覆したい

靴を創った
なめし皮から
牛はもう生まれず

枯れた井戸の中で
誰かを水死させることも出来ず

町の果てに
新しい市況を
創ることも出来ず

町の果てに
墓地を立てることぐらいならば
理にかなうけれども
石を彫る力もまた、運ぶ力もなく

夕暮れの中に
彩りに隠された
いくつかの声の一部分を聴き取る
耳を
育てることだけで
精一杯のようだ

やるせない



自由詩 法則 Copyright 真島正人 2009-12-29 03:17:01
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