終わらない愚行のために

擦りガラスの窓の外で雨が降っていて
数種類の酒が胃のなかで渦巻いていて
さっきまで着ていた服は
手の届かないところに落ちている

不貞腐れた文句に耳も貸さず
吸いつづけた煙草の灰が散らばっている
あたり前のようにふたつならんだ枕を
拳が埋まるくらい深く殴る

傷つけあうほうが
まだなんとなくきれいだった

帰る場所なんていうありふれた言葉に孔があき
中身がぽたぽたと滴り落ちる
ひとりでホテルを出れば雨が降っていて
目頭を一瞬かすめる悲痛の前ぶれ

あんなことの後にさえお前は
賢人のような表情でねむっていた


自由詩 終わらない愚行のために Copyright  2009-12-28 21:30:36
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