あんな おかあちゃん
朧月

あたしな ずっと言いたいことがあったんよ
だけどな おかあちゃんは背中やった
顔を見つけるまでに 後ろむいてたから
声 かけれんかった

あたしな ずっと先に言いたかったんよ
だけどな おかあちゃんはいっつも先しゃべるから
きいてないと怒るから すぐせな 怒るから
結局なんも言えんかったんよ

はよ言え って怒るけどな
はよせえ って怒るけどな

やりたくないって思っていないのに
やろうって思うのに 
からだが ぎしぎしして動かへんねん
腕が がたがたしてまがらへんねん

泣いたらあかん そう思うから
うたを うたってたん 小さな声で
もしかしたら おかあちゃんが
待っててくれるかなておもっていたねん


こんな小さい頃のあたしが まだ 隠れてるから
おかあちゃん 
抱きしめてほしいんよ

あんな
おかあちゃん 
怒らんときいてや

あたし 普通がよかったねん
普通になりたかったよ


自由詩 あんな おかあちゃん Copyright 朧月 2009-12-26 21:17:08
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