インド旅行記6(アーグラー)
チカモチ

世界遺産に登録されているタージ・マハル廟、アーグラ城塞があることで知られるアーグラー。この都市はオートリキシャーの運転手サムの案内のもとで観光しました。

まず訪れたのがタージ・マハル。ムガル帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンが、ペルシャやアラブ、果てはヨーロッパから2万人もの職人を集め、22年の歳月をかけて建造させたといわれているインド=イスラーム文化の代表的建築です。愛妃ムムターズ・マハルの死を悼んで建設した霊廟で、建築狂と言われた皇帝は国力をかけてタージ・マハルを建築することによって、その愛を表現しようとしたとのこと。実際、それで国は傾いたようなのですが…。
間近で見てみると、ものすごい迫力がありました。白大理石の建物は本当に美しく、圧倒的な存在感が最高でした。
これが王妃への愛の集大成か!

この後アーグラー城、イティマド・ウッダウラー廟、スィカンドラーなどをまわったんですが、タージ・マハルのインパクトがありすぎたため、正直あんまり印象に残っていません。
一通り観光が終わった後、サムは昨日同様対岸に渡り、夕焼けに染められていくタージ・マハルを拝ませてくれました。

草の上に座りながら、サムはこんな話をしてくれました。
「旅行者にしてみればインドはシビアな国かもしれない。でも俺はインドが好きだ。なかには悪い奴もいるが、いい奴も多い。食べ物もうまいし、何しろ安い。他の国へ行くと物価が高くてびっくりする。
それにインドは自由な国だ。神様の中には酒も煙草もドラッグもやるものがいるから、国中、自由な雰囲気が漂っている」
おそらく私がデリーでぼったくられたことを打ち明けたため、こんな話をしてくれたのでしょう。最後にサムは、そんなわけでインドはいい国だからまたおいで。俺がいつでもまた案内してやる、とつけ加え、ニカッと笑いました。

ガイド料金の価格は安くもなければ高くもない設定でしたが、この人は本当にいい人でした。
私の列車チケットがでたらめではないかどうか、頼んでもいないのに旅行代理店で確認してくれたし、列車に乗る際は夜食にしろとりんごを2個くれました。オートリキシャーも運転させてくれました。何しろ話好きで積極的にコミュニケーションをはかってくれる人だったので、一緒にいてとても楽しかったです。

サムに別れを告げ、夕方の夜行列車に乗り込みました。
いよいよ聖地・バラナシへ向かいます。



散文(批評随筆小説等) インド旅行記6(アーグラー) Copyright チカモチ 2009-12-24 08:26:39
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