夕暮れポケット
umineko

彼の欲しかったのは 身体
彼女の欲しかったのは お金

彼はそれを愛情と呼んだ
彼女はそれを愛情と呼んだ

愛情が破綻した、と
誰かがつぶやく
そうだろうか

天秤が
破綻したのだ
それぞれの
角度ゆえに


私の欲しいのは
夢見るような毛皮でもなく
ワイングラスの鳴る音でもない

私が欲しいのは
凍える夕暮れの
歩く 私の手のひらを

私と
同じさみしさで
包んでくれるあなたの手

夕暮れを
私たちは生きていく

世界は やがて眠りについて
 
 
 
 



自由詩 夕暮れポケット Copyright umineko 2009-12-23 17:32:44
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