わたし 大丈夫です
瀬崎 虎彦

ほつれた髪を直すしぐさ アルミニウムみたいな海

海は高鳴る心の隠喩だったか 反映だったか
わたしにはもう手の届かないものの換喩だったか

晴れ晴れとしたこころで車を運転する
白い灯台が青い空に向かって手を伸ばしている
難解さは最後にはいつもこのブルーに回帰していく

ガードレール
なにものから
なにから
なにかしら
なにから
守るものか
守られるものか
白い白い白い
婉曲表現
湾曲した背骨
そして直線がやってくる
鷹揚に鷹揚に
道なりに道なりに
わたしと
私を乗せて走る
鉄の塊と
洗練されたアスファルトの路面
道なりにただ道なりに
白い
守るもの
白いお守り
こころを
しっかと受け止めて
未来を脱臼させてくれるつもりはないか
ないか
ないか
白い
潮騒を聴く
白い直線
白い曲線
白いガードレール

昔も今も旅をすればひとりです
話し相手がいなくても構わないけれど
素敵なものを見つけたときに
それを共有できる人がいないのはさびしい

わたし 大丈夫です


自由詩 わたし 大丈夫です Copyright 瀬崎 虎彦 2009-12-22 13:46:20
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