インド旅行記4(ジャイプール)
チカモチ

デリーの南西約260kmに位置、ラジャスタン州の州都であるジャイプール。約10kmの赤い城壁は赤砂岩の色に合わせてすべて淡紅色に塗られ、別名「ピンク・シティー」なんて異名ももつお茶目な都市でもあります。
余談ですが、インドの観光地の中で欧米人の支持率が最も高いのがこの街みたいです。ちなみに日本人が好むのはガンジス川のあるバラナシ。

ここは1日しか滞在できなかったので、観光局が主催する1日ツアーに参加しました。はとバスみたいなバスに乗って、効率的に観光名所を巡ってくれるやつです。

いざ参加してみると、欧米人はいませんでした。
インド人の老夫婦が2組、30代くらいの男性コンビが2組、中国人の女性三人組、同じく中国人の男性一人、それに私…くらいだったかな、たしか。
中国人の男性は私をみるなり「さよなら」と声をかけてきました。どうやらそれが彼の知りうる唯一の日本語らしいのですが、いきなり訣別されたようでけっこうへこみました。
後から知った話、この男性はジャーナリストのようでした。言われてみれば目つきや動きなんかが彼らの持つ特有のそれで、そういう職人気質のっていうのは万国共通なんだなぁと改めて感じたものです。できるならば自分も仕事という形でこういうところを訪れられるようになれれば示しがつくのにな、と思い、道楽でやってきている自分に対してまたひとつ落ち込みました。

さて、そんな暗い気分をひっさげての参加となりましたが、このツアーは本当に素晴らしかったです。
マハラジャのかつて住んでいた宮殿や今もなお住んでいる豪邸、街並みを一望できる要塞など、全部で9ヶ所の名所をコンスタントにまわりました。英語のガイドもいたので随時解説もあり、外国人観光客に混じってゾロゾロと移動する時間は久しぶりに安心感をもたらせてくれました。

中でも面白かったのはジャンタルマンタルと呼ばれる天文台。1728〜1734年に作られた天文観測所のようですが、日時計、星座儀、子午線儀、天球経緯儀など巨大な建造物が整然と並んでいました。こうした観測機はいまもなお使われ続けているそうです。
インドは天変現象に由来する占星術が非常に重んじられていますが、それは古くからこうした観測機が愛用されていたことに起因するとか。くだけた話、インドの結婚はお見合いが多いようなのですが、生年月日から導き出される占星術の相性が悪ければ結婚が許されないみたいです。

いかにも観光地という感じのところだったため、インドの泥臭さを期待する人にとっては少し物足りないところだったかもしれません。
が、今の自分にとっては気分を明るくさせてくれた有難い街でした。


散文(批評随筆小説等) インド旅行記4(ジャイプール) Copyright チカモチ 2009-12-21 23:38:31
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