わたしたち わたしら
木立 悟







無い音が無い音のまま駆け廻る影より疾く影より疾く




花はただ花を呼吸し花に在るわたしたちでなくわたしらでなく




空つまみ冬を廻して雪を舐め夜を分けあう三匹の猫




道を織り生きる覚悟を纏いゆくわたしたちでなくわたしらでなく




声もなく他の色の名を呼んでいる灯りの下の硝子の緑




股間には股間の熱さ胎の管わたしたちでなくわたしらでなく




抜かぬ刃の雪にも葉にも触れぬ刃の視線の淵に切り結ぶ影




其処に無い鳥を描いては良しとするわたしたちでないわたしらの罠

















短歌 わたしたち わたしら Copyright 木立 悟 2009-12-21 21:47:55
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