インド旅行記1(成田→デリー…→成田)
チカモチ

女性一人でインドに行くことにしました。

いよいよ出発です。携帯のアラームを6:30にセットしておいたのですが、設定ミスのため鳴りませんでした。でもなぜか6:31に目が覚めました。
祖母が亡くなった時に目が覚めた時と同じような感覚でした。バカバカしいかもしれないけれど、この時私は神様の存在を信じずにはいられませんでした。

そんなわけで無事に時間通り、成田空港にたどり着くことができました。飛行機はエアインディア。お昼頃に飛び立ちました。
が、ひとたび空に上がると揺れる揺れる。こんなものなのか?といぶかしく思っているうちにアナウンスが流れ始めました。英語だったからよく分からなかったけど、「Go back NARITA」という単語が聞こえたような気がしました。

まさかね、聞き違いだろうとタカをくくっていたのですが、やっぱりヒアリングは間違っていませんでした。アナウンスから1時間弱、飛行機は見慣れた光景の空港に降りてしまったのです。
一瞬、もうインドに着いたのかと思いましたが、そんなはずもなく。隣の席にいたおじさんが乗員に確認してくれたのですが、エンジン故障が発覚したために成田に引き返したようでした。
とりあえず乗客は機内に待機し、エンジンの復旧をお待ちくださいとのこと。機内食が運ばれてきました。

おじさんは「やっぱり安い航空会社はダメだねぇ」とため息をつき、自分は商社に務めており仕事で何度もインドに出向いていること、危ない目に何度もあっていることなどを控えめな口調で話してくれました。パキスタンに行った時は飛行機でハイジャックに合い、胸付近を刺されたとか。
「よくもまぁそんな思いまでして行く気になれますねぇ」と驚くと「色々経験したからね、もう怖いものなんかないんだよ、ハハハ」と笑っていました。

覚悟はしていましたが、結局飛行機は飛びませんでした。乗客は空港付近のトランジットホテルに一泊することになり、明朝、JALで改めて出発するとのこと。乗客はゾロゾロとホテルに出向き、各自割り当てられた部屋に落ち着きました。

ホテルでは夕食、朝食サービスのチケットもついていました。夕食を食べようとレストランに出向くと商社のおじさんにバッタリ会い、一緒に食事をとることになりました。ここでおじさんは面白い話をしてくれました。
「僕はかれこれ30年以上インドに渡っているんですけどね、ここ5〜6年でインド人の顔がずいぶん明るくなったんですよ」
実体験に基づく言葉というのは力があるものですが、これが一番印象的で、真実を捉えている気がしました。私は旅行が終わってから、この時おじさんから聞いた話の一つひとつを実感として納得することになります。

結局、一日を棒に振ってしまったわけですが、あのまま墜落死しなくて本当によかったです。
これも神様の助けでしょうか?なんにせよ、危険との背中合わせが続いた珍しい日でした。


散文(批評随筆小説等) インド旅行記1(成田→デリー…→成田) Copyright チカモチ 2009-12-20 09:20:19
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