足踊りを見ながら
kauzak

お囃子が始まる
和太鼓/篠笛/摺鉦が
絡み合って

今日は表彰式のアトラクション
小さなホールに響く音は
ことのほか大きく力強い

お囃子の調子に乗って
繰り広げられる足踊りは
艶めかしく猥雑なはずなのに

集まった人たちは
笑いもせず拍手もせず
ただジッと真剣に見ている

いつの間にか伝統芸能という
高尚な芸術に祀り上げられてしまった
村祭りの見世物だった足踊り

扇と傘も巧みに使って
足と手で演じられる
男女の秘め事

その巧みな操作にさえ
どこで拍手をしたらいいのか
タイミングが取れないようで

取れないから拍手をしない
そんな僕のような
自意識過剰な人ばかりみたいで

何だか悲しくなって
自分が情けなくなって

ただ踊りの見事な技術と
素朴で大らかな猥雑さが
救いだった


自由詩 足踊りを見ながら Copyright kauzak 2009-12-19 23:22:07
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