嘘ほどに赤くない日々
あぐり




鉛色の風が
立ち竦む香りをわたしの額に浴びせる
(さざんか さざんか)
嘘つきたちの赤い舌びらが
一面に敷かれるこのアスファルトの上に
膝をついている、足を汚している

顕示欲がにおいたつから
傍にはいられないの
空に溢れる怒りが
ほんとに息を殺すから
また嘘を一つついてみた
赤い舌びら
(さざんか さざんか)

かきまぜられている冬のあどけなさ
回想するには慈しみの足りない海辺
吐き出された白さに、わたしは早く赤色を混ぜたい
耳元で囁く
(さざんか さざんか)
問い返せないのはきみの優しい弱さ

茶けて褪せた嘘の色が
あんなにも満ちていた夕焼けの部屋に散った飛沫のようで
一人じゃ笑うしかなかったよ
苦しまないようにうたうんだ、わたし
あぁほら
嘘を否定したらわたしたち生きられなかった
冬だって、そんなことないんだよ
寒いと凍えるきみの手を掴むわたしのいったいどこに
冷たさがあるというの






自由詩 嘘ほどに赤くない日々 Copyright あぐり 2009-12-15 00:23:33
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