草食系男子の苦悩。
aokage






ほろほろと涙の零れ落ちる瞼に口づけをして、

貴女の苦しみまで、吸い取ってしまいたいのに、


僕はこうして、抱き締めてやることしかできない。



せめてこの温もりが、

その悲しみを溶かしてしまえればと。



僕には、祈ることしか、


出来はしないのだ。





男の矜持が無いわけではない。

男の自分よりも強い貴女に、何も思わない訳でもない。


けれど、貴女が誰よりも苦しんでいると知っているから。

『誰よりも強くあらねば』と、誰よりも弱い心を叱咤して立つ貴女を知っているから。



僕は、僕にだけ見せてくれる貴女の其の弱さを、

心から、愛おしいと想えるのだ。





貴女が忌む『貴女の弱さ』を愛する僕を、貴女はどう思うのだろう。


貴女の弱さに付け込むような真似をした僕を、軽蔑するだろうか。




けれど、貴女の『強さ』になんて、到底及ばない僕は、



そうする事でしか、


貴女に、触れる事すら叶わないのだ。













自由詩 草食系男子の苦悩。 Copyright aokage 2009-12-14 15:18:06
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