白いけむりが立ったので
オイタル

曲がったネクタイを直して
身だしなみをきちんとして
それから 二人で
青空を見に行った

白いけむりが立ったので
裏の丘へと登っていった
あなたの腕のような
楓の木々のあちこちに
朝の霧の端切れが残り
胸を締め付ける空には
掌のように
紅葉する秋が浮かんでいる

一人でお線香を
立てに行ってはいけないよ
引かれるからね
惹かれるから?

山の小道はさくさくと落ち葉を鳴らし
観音様はひらひらと手を泳がせ
あなたは
光りながら私たちの後をついてくる

おにぎりももう二つも食べたから
きれいな空気も浴びたから
今度はそろそろ
楓の葉の上に乗っかって 飛び上がって
ずっと遠くの 港の波止場で
しんなりと前足組み替える黒い猫のひげでも
眺めてらっしゃい
きつい潮の香でも
嗅いでらっしゃい
私たちはもう
丘を降りるから ゆっくりと
扉の開く音に合わせて
降りていきますから

ではね


自由詩 白いけむりが立ったので Copyright オイタル 2009-12-12 13:19:48
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