閉めに行く
オイタル

玄関の戸がふうっと開いて
そのままなので
誰かが閉めに行く

みんな たくさん泣いたけれど
泣き足りないと思って

二階の
薄い空箱の
暗がりから
なんとなく降りてきてしまう
妙な目で見たからだろう ほら
あっと思ったらしく
また引っ返して
ドアが閉まった

別にいいのに
ななめに敷いた座布団に
ちょっと 崩して座って
お漬物とお茶と いただいたら?
そんなに遠くもないんだし
すぐと ほら
そこなんだし え?

「きたのかい」
と言ったら
薄いすももの木の陰に
すいと隠れてしまったという
らしくもない それにしても
そういや あの木
二年前に切らなかったかしら
実も成らないしなぞといいながら

雲が
鈍く光る

午後


自由詩 閉めに行く Copyright オイタル 2009-12-12 00:12:31
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