観察
山中 烏流



きみを私が羨むとき、
その周りでは
数えようも無いほどの人々が
様々な考えを巡らせていて

色々に過敏な、きみだというのに
そのときばかりはどうしても
どんな私のこえも
聞きこぼしてしまうらしい


きみの首に下げたイヤホンから
流行のロックンロール・ミュージックが
聞こえる



単純に装うほど
方向はきっと、捻れてしまうもので

綺麗な風景を描くよりも
キャンバスを叩き割ったり
筆を折ったりして過ごす方が
面白そうに思えてしまうのは

きっと、そういうことなんだろう



多くを望まない姿勢を望めば
きみは、私を嘲った
そうして
それを卑しさへと当てはめては
また、私を、を繰り返した


  
私は常にみられている



散り散りに遊んでしまうのは
およそ思考だけではなくて
きみを思うような、その単純も
遂には
そして、捻れるように



  ***



きみを私が羨むとき、
その周りでは
数えようも無いほどの人々が
様々な考えを巡らせていて

色々に過敏な、きみだというのに
そのときばかりはどうしても
私のどんなこえも
聞きこぼしてしまうらしい


きみの首に下げたイヤホンから
流行のロックンロール・ミュージックが
聞こえて



私が目を逸らした先の水面から
何かが跳ねたような音が






  
そして、静寂






自由詩 観察 Copyright 山中 烏流 2009-12-11 22:10:55
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