みゆき
涙(ルイ)

カーテン締め切って 明かりもひとつにして
聴いていたわみゆきの歌を
今日も一日働きました
気持ちをどこかに置き去りにして
最近はめったに泣かない代わりに
思い切り笑うことも少なくなってきました


一体 この虚しさはなんなのでしょう
誰といてもどこにいても
淋しさが募るばかりなのです
自分より不幸な人を探してしまいます
彼氏できたって友達の幸せを
素直に喜べなくなってしまいました
世の中の人みんな正しくて
自分ひとりまったく間違っているような
ひとり浮いているようで不安でたまらないのです
家族を あたしについて考えれば考えるほど
愛された記憶の薄いことだけが
鮮明に脳裏に焼きついていて
いっそ自分なんかどうにでもなってしまえばいいのに
必死にいままで生きてきたつもりだったけれど
誰もそれを認めてくれないのが悲しくて
なによりあたし自身が
一番 あたし自身を認めてあげることさえできない
そんな日々が 重く重くのしかかってくるようで辛いのです

どうしてこうなのでしょう
どうしてこんなにも人に攻撃されてしまうのでしょうか
そんなにあたしが悪いのですか


生まれたことが悪ですか
生きてることが罪ですか


一体 どこで踏み外してしまったのでしょう
どうしてこんなにも
心が卑屈になってばかりなのですか
あたしだって 自分のことすきになりたい
頑張ったね よくやったよ
よくやったねって云ってあげたい
だけど 後ろめたいなにかをいつも引きずっていて
どうしてもそれができないのです
自分を責めることでしか
安心することができないのです
勝手に自己犠牲を装って
悦に入っているだけかもしれません
こんな自分なんかいなくなってしまえばいいんだ
ほら そこにあるロープで
首をぐるぐるに巻いて一気にひっぱるがいいさ
そうすれば何もかも終われる
面倒な一切を終わることができるじゃないか


ロープで首をぐるぐるにして
ひっぱってみた
頚動脈を圧迫されて喉を詰まらせて
痛いよ苦しいよ このまま逝っちゃうんだな
よく死ぬときって
いままでのことが走馬灯のように現れるっていうけど
思うことといえばさ
いつもひとりぼっちだったけど
それでも こんな私と一緒に笑ってくれた
何人かの友達や
ホントに死んでしまいたくなった夜に
電話を掛けてきてくれたあの人のことや
散らかった部屋の中では死ねないなとか
もうちょっとちゃんとした格好して死のうとか
そんなバカなことばかり頭を過ぎったりなんかして


ああ あたしはまだ生きてるんだ


人間なんてそんなに強くないよ
でもそんなに弱くもないんだ
ほら その証拠に
あんな酷い状況の中でも
今日の今日まで生きてこれたじゃないか
乗り切ってきたじゃないか
それってやっぱりすごいなって思うしさ
それにそれにさ
友達あんまり多いほうじゃなかったけど
でもその少なかった友達は
みんないい奴だったじゃないか
また会おうって云ってくれたじゃないか
くだらないこと云って笑わせてくれたじゃないか
あたしが統合失調症だって知っても
変わらず付き合ってくれたじゃないか
死にたいよって云ったら
本気で心配してくれたじゃないか
否定する人間ばかりじゃないって
教えてくれたのは確かにそいつらだったじゃないか


大丈夫 大丈夫
道はひとつじゃない
ここがダメなら 違う道を選んでみればいい
曲がったり立ち止まったりしながら
前に進んでいけばそれでいいじゃないか


カーテン開けて夜空を見上げる
星なんて見えなくたっていいよ
ほら みゆきが歌ってくれてるよ
「泣きたい夜はひとりはつらい
 だからあたしのところへおいで」って
だから今夜はもう何も考えないで
安らかな眠りに堕ちるまで
子守唄がわりに
ずっとずっと




明日もまた早い


自由詩 みゆき Copyright 涙(ルイ) 2009-12-11 20:43:38
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