途方へ
あおば

             091210



九官鳥を捕まえた
明日からは
代弁してくれるので
雄弁家の顔を作る
泥粘土をこねて
顔に塗る
生乾きの間に
次の顔を考える
次の顔に塗ってから
顔の輪郭を太くする
顔を洗いさっぱりしたところで
会社に出かける
帰宅する頃には
粘土は乾いているので
ポスターカラーで
隈取りをして
仕上げた
九官鳥がいるから
声を出さなくてよいので
身振り手振りに集中できる
相手の顔も考えも
お見通しだ
九官鳥には
Qちゃんという名を付けた
平凡すぎるが
有名な名前なので
だれも苦情を言わないで
Qちゃんが喋るのを邪魔しない
人生は基本的に悲しいと
やなせたかしさんがテレビで語る
それを見ながら書いているので
話がどうなるかは
やなせたかしさんに聞いてくださいと
Qちゃんは少しだけずるくなりましたが
星の世界にも
小さな希望があるから
安心してくれ給えと
Qちゃんの寝言が
可愛い声で聞こえてくるので
僕も安心してぐつすり眠れるのです




「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作、タイトルは、若原光彦さん



自由詩 途方へ Copyright あおば 2009-12-10 21:26:48
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