「雪の実」
月乃助



やわらか
マシュマロ
冬の庭に 小さな実をさらけだし
小人の作る あわい白玉が
あちこちに 雪をふらせて、
 
寒いね、
ここでは、そんな優しさは許されないのです
ここでは、強い者だけが生き残る
とげのある
細い枝が 手ごたえのない土をさしたり

それをがまんして
それでも、息をさせられる

羽をむしられて
鳥達も、寒さに体をふるわせる
さっき、あの鳥はスノー・ベリーをくちにした
毒のある 食べてはいけないはずなのに
でも、知っていて
鳥は、白い実をついばんだ
食べるものなど ここには
ありもしないから

知らずに ひとりひとり消えていくのは
弱いから、
あざ笑う者が ぬくぬくと生き残るのですね
弱い者がいるから、
蔑むものが 喜んでいられる

つまらない 
庭でいつまでも 遊ぶのはやめますか
ここは ひどくむごいのでしょうから、
それが、すべてじゃないなど
分かっているのです けれども
それに気づいた者達から…

ほら、また笑ってる

だったら、
残った者達で
羽のむしりあいを
したらいいさ 
好きなだけ さあ
早くはじめなさい




自由詩 「雪の実」 Copyright 月乃助 2009-12-10 05:12:47
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