虹を駆ける少女
楽恵

青銅製の戦士像
錆付いた彼の硬い頬に
涙がひとすじ
流れてる


多感な彼女は
どこにいてもそれが分かる


神様のように優しい雲たちが
どんなに慈悲深く
覆い隠そうとしても


生れ落ちたばかりの赤子に与えられてしまう運命や
永遠の決別のために出会う恋人のこと


少女は
顔をあげたまま
まっすぐに立っている


太陽に許されている限り
降る雨はどこまでも感傷的だから


花々の種子を運ぶ風に
透明の粒が乾いても


まだ
瞳を閉じて
恋に恋している
夢を夢見ている


小さな紅の 
ペディキュアだけを武器にして


雨あがりの空に
少女
虹をかける


自由詩 虹を駆ける少女 Copyright 楽恵 2009-12-10 00:06:02
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