たおやか着地
嘉村奈緒




 例えば地に足が着地したとして
 曇り空と背の高い建物の間に
 そっと手を差し入れることもできるし
 湿っぽいから霧を出してもいいし
 花のように丸くなることもできる
 後悔はなくならないけど
 少ない方がいいに違いないから
 たまに歩いたりもする
 ギコギコと関節が鳴っても
 それは鳴るだけだから
 本当は大丈夫なんだって知っている
 そのうちたくさんの雨が降って
 足元が思いのほかたわんでも
 さっき伸ばした手のあたりに
 案外と何かがあるから
 良かったって言う
 見えないものは信じにくいけれど
 伝えることはできるから
 良かった
 とてもいい着地だったって
 言うよ


  
  


自由詩 たおやか着地 Copyright 嘉村奈緒 2009-12-09 21:31:45
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