ひとの明かりが照らす夜から
星の光を洗い出して
空を見る

冷たい空気に頬を浸して
昔覚えた星の名を
思い出そう　と

ベテルギウス　リデル
カストル　ポルックス
シリウス　プロキオン　スバル

光は鮮やかに
私の水晶体にまっすぐ沈み込んでくる
星々を懐かしく見上げながら私は
それらの名を呟いた幼い頃に少しずつ戻っていく

ベテルギウス　リデル
カストル　ポルックス
シリウス　プロキオン　スバル

星の名は
私を夜空に近づける呪文であった
ひとの明かりが照らす夜から
星の光を洗い出すためのよすがであった

大きくなった私は幾つもの呪文を忘れてしまった
ひとの明かりに幾つもの星がうずもれてしまった

冷たい空気に頬を浸して
昔覚えた星の名を
思い出そう　と

空を見る