禁忌
汰介



1.

そう
やはり今日もそれは朝から増幅していた

そう
今日もやはりそれは朝から猥らな温もり

そう
それは今日もやはり排水溝の臭いの交尾

そう
今日もそれはやはり愛なのいいえ憎しみ

そう
それはやはり今日も卑劣な言葉の反射鏡

そう
やはりそれは今日も天井裏の鼠達の物音


2.

雫に塗れた指は
豊かな芽に微かに触れ

存在し得ない
止まった時を

虚構に漂う時

透明の液体と
白色の液体は
夢を見る

柔らかな
見えない腐臭を湛え

罪の指は
罪の芽から
穏やかな罪の
感触を超えた波間へ


3.

鈍く反射する緑色の鏡のような
金属板は

肉体と直結し
その痛みは
死への欲求を弄び

生存本能と
細い血管で結ばれている

歪な血生臭い叫びは
遠い完成への呪詛
若しくは行き止り





自由詩 禁忌 Copyright 汰介 2004-09-20 22:06:28
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