夢見る僕は観念する
百瀬朝子

何かを欲しがったり手放したりする
背負える荷物の量は決まっている
用意された荷物は尽きない、神様

子どもだろうが
愚かだろうが
どれだけ打ちのめされようと
僕はまだ明日に夢を見る

ブレない芯をつらぬきたい
指差して笑う人がいる
その指をへし折ってやりたい
暴力的なのは好きじゃないから
きっと見返したいだけ

こぼれた文字を訂正したくて
飲み込んだ文字は吐き出したくて
対立するあの子と手を繋ぎたくて
でたらめは僕の本質

どうか見抜いてとは言わないけれど
一瞬ごとにあるがままの僕を
受け止めてくれるだけでいいんだ
見解をこじつけた理解はいらない

冷たいにおいがする
触れる鼻先がひやり
冬が近い
きみはまた遠くなる

僕の影が夕日で伸びる
僕の足元から去っていこうとしている

僕はすべてを捨てたがっている
捨てられるより捨ててしまいたい
焦燥は賢明さを解体する
おろしてはならない荷物を
置き去りにしたくなる

僕はまだ明日に夢を見る

どこかできれいごとを信じている証拠
もう沢山だ
踏みにじって、
 踏、
  踏、
 踏、
  踏、
踏、
 踏、
薄っすら積もった雪に真新しい足跡
踏みにじって
踏みにじって

捨てたい荷物は雪に埋めて
僕は春を待とう
見逃してくれ
きみはどうせ行ってしまう


自由詩 夢見る僕は観念する Copyright 百瀬朝子 2009-12-07 18:18:24
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