バスターズ
砂木

バスターズ

信号が変わって 足早に歩き始める。
通勤途中の人の列は 流行のインフルエンザの影響で
マスクをかけている人が目立つ。
少々苦しいが 感染したくないので我慢してかける。
しかし おやっ。
マスクを頭の後ろにかけている人も 見かける。
スカートをはく男子がでるくらいだし ファッションだろうか。
いや女性もいるようだしなあと 信号を渡りきると
マスクを後ろにしている男女が立っている。
ペアで おそろいにしたのだろうか。
いやだなあ 私だったら と思いつつ追い越そうとすると
どうだい そろそろ と声が聞こえる。
そろそろ そろそろって 私に言ったのだろうか。
そうだね そろそろ と 私のどこかで音がする。
えっ 変じゃないの 私の声かしら。
でも私 話してない。
マスクがムズムズする。はずそうか あれっはずれない。
そんなはずないでしょう。たかがウイルス対策のマスク。
いやっ 誰かはずして 苦しい はずして はずして。
・・・。

路上でマスクを配っている人が増えました。
ウイルス対策のマスクが不足している今 このマスクは
救世主のように ありがたがられています。
販売する人達は皆 頭の後ろにマスクをしています。
宣伝のためでしょうか。

人通りが途絶えた。配るマスクも無くなった。
帰るぞ歩け と 後ろでマスクが命じる。


散文(批評随筆小説等) バスターズ Copyright 砂木 2009-12-06 22:59:07
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